第1回大学文芸部大賞 投票結果


投票結果(概要)

 最初に、投票していただいた皆様にはお礼申し上げます。
 今回は有効投票数が6票と少なく投票対象も全て異なっていたため、 大賞については該当作なしとなりました (統計的に有意ではないですが、作家別では池上永一氏の12ポイントが最高)。
 なお、書評など詳細の発表は当初6月末を予定していましたが、速報(概要)の発表と同時期に前倒ししました。
 今回の経験をもとに投票方法などの改良を行っていきます。 ご意見、ご提案などありましたら掲示板 またはメールまでお気軽にどうぞ。 次回の文芸部大賞は2006年秋頃を予定していますのでよろしくお願いいたします。

2006年6月5日 文芸部ナビ管理人 ターブレンス(神戸大学文芸研究会OB)

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投票結果(詳細)

1位(6ポイント)

kasuka さん(島根大学総合文芸部)の書評

今世紀最強のエンターテイメント。直木賞養成ギプスを脱いだのにエンタメの最 高峰ってのがすごい!

雷神 さん(金沢学院大学創樹会)の書評

 もはや時代は移り変わって、高校時代に春樹を読んだ人間が、その感動を初期 衝動に、筆を取る・・・。という時代ではなくなったのかもしれませんが、村上 春樹作品が現代の作家へ、そしてこれから次々現れるであろう新米作家たちへ与 えた影響は計り知れないものがあると思います。この作品は、自分にとって「現 実の有り様を見つめなおす上でのちょっとしたファンタジー」という体裁の真骨 頂であるように思います。きちんとテーマを含み、表現で自分の個性を存分に発 揮し、書き切る。「書く」という行為にただ自己満足を求めるだけでなく、他人 に届かせる上での世界の捉え方を学べる良書であると思います。

鴉羽黒 さん(名古屋大学文芸サークル)の書評

 純粋なミステリと言うのは、まさしくこういうものを言うのではないだろうか 。人が死んでいるわけではないし、宝石が盗まれたわけでもない。ただそこに、 ビールがある。たくさんある。一組のベッドとビールの詰まった冷蔵庫の他に何 もない別荘、そこで繰り広げられる不毛ともいえる推論の立て合い崩し合い。魅 力的なキャラクターと突飛に見えて実に論理的な推理が、読む人を休む間もなく 先に進ませる。何度も読み返す小説の一つです。

匿名 さんの書評

時は清代、ドイツ軍の鉄道敷設をめぐって、県知事と、役者と、処刑役人の意地 がぶつかり合う――目を覆いたくなるほどの細密な描写と劇的な展開が素晴らし い、底力を感じさせる作品です。残虐な描写が多いわりに不思議と雰囲気が暗く ならないのも特長の一つ。この小説が気に入った方は同じ作者の『豊乳肥臀』も どうぞ。

美尾蘭手2 さん(徳島文理大学香川校文芸部)の書評

沖縄の上空に誕生した魔法陣から始まり、最初から最後まで突拍子の無い、いわ ば奇抜で異端な物語であった。
読む人を選ぶ内容であり、正直私の周りでも評価の高い作品ではない。だが、こ の作品の素晴らしいところは、明らかに荒唐無稽なイロモノ作品の様相を呈して いながら、その実非常に完成しきっているという点にある。 構成、描写、設定、表現力、どれをとってもまるで隙が無い。完成度という点に おいては、既存の正統派な作品にもまるで引けをとらない。作者の技量の深さを 思い知らされる。
特に良いのは人物描写であろう。主人公のデニスは黒人の父親と日本人とアメリ カ人のハーフの母親との間に生まれたアメレジアンで、アメリカに帰る母親と離 れて沖縄で暮らす少女である。彼女の存在を通して描かれる沖縄は実にリアルで 、デニスの考えや目線の置き方、生き様なども連なって自然に感情移入できる。( これは沖縄出身者である私の主観なのかもしれないが)
そのほかの多彩な人物もよく出来ている。個々には個々の考え方があり、それぞ れの生き様があることをディープに理解させてくれる。
構成のテンポの良さも良い。たたみかけるように次の展開がやってくるが、説明 の上手さと文章力の高さで、流れるように読めてしまう。やはり作者の力量は高 い。
長文になりましたが、この作品はとにかく究極のスペクタクルを私に披露してく れました。故に私はこの作品を文芸部大賞に押させてもらいます

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2位(4ポイント)

ゆるり さん(徳島文理大学香川校文芸部)の書評

十二国記シリーズです。本当はこれを一位に推薦しようと思っていたのですが、 未完なので完全に評価できない、ということで二位になりました。今一番続きの 気になっている作品です。

kasuka さん(島根大学総合文芸部)の書評

自意識の及ぶ範囲のなかでしか生活できない、思春期の若者を見事に描ききって いる。最強の空気感。

雷神 さん(金沢学院大学創樹会)の書評

 最近読んで、これが新しい文学の主流となるのかと思うとやや頭痛がしました が、この作品は来るべき(?)「主人公が増長気味」「物語の全てがご都合主義 」作品主流時代への警鐘ともとれる作品なので、あえて推しました。この作品に は露骨なほど「萌え」が前面に押し出されており、それらの萌えキャラが取るア ブノーマルな行動が、期待に胸を膨らませる読者の希望を次々と引っかいては、 「萌え」から畸形な何かへと変えて行きます。結果、物事はそう思い通りにはな らない。ハッピーエンドなどというものは、世界があらかじめそう作られていな いと発生し得ない、そして何よりそんなものを求める「きみの世界」は壊れてい るのだ・・・という痛烈な皮肉。読めば読むほど笑えます。

匿名 さんの書評

分身ものの怪奇小説の古典ですが、その魅力と恐怖は今となっても失われていな いでしょう。迫力ある内容に絢爛たる文章が華を添えます。

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3位(3ポイント)

kasuka さん(島根大学総合文芸部)の書評

ライトノベルの最高峰。今のライトノベルに足りない、文体意識を持ち合わせた 稀有な作品。

雷神 さん(金沢学院大学創樹会)の書評

 キチンとテーマを含み、表現で自分の個性を存分に発揮し、書き切る。という 自分の評価基準を全然満たしていないのですが、逆にそのことが自分の基準の誤 りを認めさせるくらいに熱中させられたシリーズです。日常とはそれ自体にテー マを含みにくく、また世間にうまく対応するには個性はある程度剪定しなければ ならず、物事の終了がそのまま自己の完結には繋がらない。作品としての良さと 人生を書く良さとは全く別ベクトルにあるものだと気付かされました。創作であ るとはいえ、この作品に書かれているものは、間違いなく「ある日常」であると 言えます。

匿名 さんの書評

イエスとピラトの行わずに終わった会話を巡って、悪魔の一行がモスクワを大混 乱に陥れる――抱腹絶倒のファルスです。ロシア文学と聞いてトルストイとドス トエフスキーしか思い浮かべられない方には是非このブルガーコフワールドを体 験して欲しいですね。

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